痛風・高尿酸血症とは
「風が吹いても痛い」と名付けられた病気、それが「痛風」です。
足の付け根に激しい痛みが現れるのが特徴的です。痛風の原因は、血液中の尿酸が異常に増える「高尿酸血症」という状態です。高尿酸血症は、痛風発作だけでなく、痛風結節、腎障害、尿管結石、さらには動脈硬化のリスク要因にもなります。特に男性に多く、30代男性では約30%が高尿酸血症を持つとも言われています。

なぜ尿酸値が上がると痛風になるの?
尿酸値が高くなると、血液中で溶けきれなくなった尿酸が結晶化します。この尿酸塩結晶が関節などに沈着し、あるタイミングで剥がれ落ちると、白血球がそれを異物とみなして攻撃します。その結果、激しい炎症と痛みが生じます。

症状は?
典型的な症状は、片側の足の親指の付け根の関節に激痛や腫れが起こる「痛風発作」です。発作は突然現れ、1日以内に痛みのピークを迎えます。発作を繰り返した場合、関節に痛風結節が見られることもあります。

検査・診断
血液検査で血清尿酸値が 7mg/dL以上 であれば高尿酸血症と診断されます。尿酸が結晶化し始める濃度がこの値だからです。高尿酸血症には以下のタイプがあります:
- 尿酸排泄低下型
腎臓からの尿酸排泄が低下した状態。→「尿酸排泄促進薬(URAT1阻害薬)」が使用されます。
- 尿酸産生過剰型
尿酸の産生量が増加した状態。→「尿酸生成抑制薬(XO阻害薬)」が適用されます。
- 腎外排泄低下型
腸管からの尿酸排泄が低下した状態。→同じく「尿酸生成抑制薬」が用いられます。
- 混合型
排泄低下型と産生過剰型が混在する状態。
治療
治療の柱は、生活習慣の改善と薬物療法です。
生活習慣の改善
1、飲酒の管理
アルコール摂取量が多いほど、痛風のリスクが高まります。節酒が大切です。
2、食事管理
肉類、砂糖入り飲料、果糖の摂取を控えましょう。逆に、乳製品の摂取は予防に有効です。
3、運動習慣
ランニングの距離が長い人や日常的に適度な運動をされている方は痛風になりにくいとされています。日常的に身体を動かすことが推奨されます。
4、水分摂取
1日に2L以上の尿量の確保を目指し、こまめな水分補給を心がけます。尿のアルカリ化を目指し、野菜を積極的に摂取しましょう。

薬物療法
薬物療法は、痛風発作の予防や再発防止に使用されます。管理目標値は 6.0mg/dL以下 です。
- 尿酸生成抑制薬
尿酸の生成を抑える薬です。
- 尿酸排泄促進薬
尿酸の排泄を促進する薬です。
- 鎮痛薬(NSAIDs)やステロイド
痛風発作時の激しい痛みや炎症を抑えるために使用されます。
尿酸値を下げるために
痛風や高尿酸血症は、生活習慣を見直すことで予防や改善が期待できます。症状が現れる前に、ぜひ当院へご相談ください。